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代償運動 trick movementを整理する

こちらを先に書けばよかったと反省ですが、

この代償運動を整理することが、

臨床力、考える力を磨きます。

解剖・運動学を学んで何をしたいのか、

よくわからない?

つまずいている?

発展性がない??

そんな人には、ここを整理することをお勧めします。



まず、代償運動とは何か、

ROMとMMTの中で確認しましょう。

そもそもの代償動作とは何かというと、

一種の「ズル」です。

簡単な例で肩関節、肩甲骨で例を出すと、

肩関節を度外転するときを見ましょう。

教科書的には、肩甲上腕リズムがあるので、

肩外転180度、

手が真っすぐ天井に向いている状態に至る時、

おおよそですが、

肩甲胸郭関節の上方回旋で60度、

上腕肩甲関節で120度外転します。

教科書上の話なので、ダンサーには適応されません。

分かっています。

今回はこのまま行きます。

180度の可動域を測ろうとしているときに、

よくよく見ると、

胸を反り上げている人がいたり、

体幹側屈していたり、

本当は外転可動域がないのに、

無意識にこっそりごまかそうとする人がいます。

これです。


筋力の場合には、

筋力をより強いと印象付けるために、

手のひらを天井に向けて(前腕回外させて)

上腕二頭筋を動作に参加させようとすることもあります。

本当は上腕肩甲関節の外転筋の三角筋の筋力を測るので、

二頭筋は分離させて、静かにさせておくものです。




このように本当は起こすはずの運動を

他の動作をこっそり織り交ぜて、

可動域を良く見せたり、筋力を高く見せようとする動作です。

ここを「分離」する(医学的にこう表現します)、

精査していくのが評価として行われます。

こういう動きのバリエーションを知っていると、

何気ない動作で、

無駄なく動いているのか、

どこかが弱い・硬いためにズルしているんじゃないかと、

知ることができます。

ここを極めていくことで、

前回書いたように身体の動きの詳細を理解する

引き出しが増えていきます。

臨床経験により、いろんなパターンを見極めていくにつれ、

見ただけで判断できるようになってきます。

ただ、判断できると思っているだけで、

実は分かってないこともあるので、

何か疑わしいこと、思いついたことがあれば、

きちんと触診をしながら、

動作の分離をさせていくことが大事です。



バレエ・音楽から解剖学を学び始める人は、

何かしらの経験から、

○○っぽいとか、○○みたいなという

あいまいな表現を使う人が多くいます。

リハビリ業界にももちろんいます。

何か印象を経験から導き出しているのです。

ただ、これを客観的に言えるように、

整理してみると、いい勉強や財産になります。





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