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感覚系を深く利用する、ダイナミックタッチの概念


Twitterで呟き始めましたが、

まとめられず、

こちらでまとめてみようと思います。



まず、ダイナミックタッチって何かというと、

感覚のないモノでも身体と連結させていれば、

そのものを身体の延長物として、

操作したり、認知できるという概念です。

分かりやすく説明すると、

自転車です。

舗装された道とでこぼこ道を走っているとき、

地面を見ているのでどちらかわかりますが、

ハンドルを持っている両腕からも、

どっちの道を走っているのか、

判断ができるます。

自転車そのものには感覚はありませんし、

私の身体でもありません。

でも、自転車がどんな地面に接触しているのか、

それは、自分の身体を通じて理解できますよね。

これがダイナミックタッチです。



何故ダイナミックという名前がついているかというと、

この感覚、正確には知覚は、

身体をダイナミックに動かすことで、

習得できることに由来してつけられていると思います。

これも、自転車を例にしますが、

自転車に始めて乗った人が

舗装されている場所とでこぼこ道を経験して、

始めて「認識」できるものです。

さらに、認識に注意を払いながら、

繰り返し練習することで、

でこぼこ道でも、無意識に

意識に上げることなく(医学的にはこういう表現をします)、

それを感じ取り、

自転車を操作できるようになります。

必ず、動的・ダイナミックな要素が必要です。

静にじっとしていても「確立」できません。



バレエでいえば、

ポワントや衣装は私の身体ではないですが、

どうなっているか分かりますし、

上手に操作してパフォーマンスします。

音楽家でいえば、

楽器はまさに自分の身体ではありませんが、

ボタンや鍵盤を操作することで、

その奥にどういう仕組みがあるのか知っていると、

その奥の様子がイメージできますし、

どう操作したらどうなるかをイメージできるようになります。

バイオリンなどでは、

弓や弦は自分の身体でないし、感覚も通ってませんが、

お互いがどういう圧力で接しているか、

分かるかと思います。



ダンス・バレエの人たちが練習を進めていくとき、

身体感覚と鏡を使った視覚的フィードバックを受けつつ、

動作学習をしていきます。

客観的に手足を動かせないと、

つまり身体性を高めないと、

上のレベルにいけないということは当然なので、

身体機能をあげるための筋トレなどは「普通」です。

比較するといけないのですが、

音楽の人たちは、身体感覚よりも、

音・響きを聞くことをフィードバックとして

重きを置いて練習に取り組まれています。

あまり身体性にこだわらない、ようです。




この感覚はなくても、

楽器演奏も、バレエもできます。

ただ、ある程度プロフェッショナルな世界を目指す人は、

このタッチを理解しています、獲得しています。

バレエでいえば、

ポワントの先の限られた範囲と重心位置が分からないと

ポワントでの連続ジャンプ&着地は危険です。

楽器演奏者であれば、

どうすれば、どういう音が「出せるか」わかります。



リハビリ業界でこのアイディアを広めてくれた

富田先生という人は、レジェンドの一人なのですが、

彼が担当する患者さんは、

予後予測(統計学でどの程度回復するか初期からある程度予測します)よりも

高いレベルの運動能力を持つことが知られています。

一般の段階的筋トレや可動域練習(柔軟性獲得)以上の、

効果を発揮しています。

私も、理学療法士の経験としては、

脳卒中や、末梢神経障害など、

感覚障害の患者さんの治療が得意になりました。

感覚障害のない一般成人の整形外科的治療でも、

ハイレベルな身体能力を持つところまで

サポートできるようになりました。



なぜ、この感覚があると有利なんでしょうか?

それは、自身で動作を「クリエート」できるようになるからです。

(脳の機能障害の場合は配慮が必要で例外もあります)

依然のブログに「模索する力」について書きましたが、

それが関係してきます。

運動学習を「トライ&エラー」で学びます。

最初から、

ポワントを操作しよう、楽器を操作しようという意識がある人は

その操作においても、フィードバックを意識下でも拾ってきます。



分かりやすく、サッカーを例にします。

サッカーで必要な能力は、ボールを扱う能力です。

ボールが自分の足元にある時、

どういう身体操作をしたら、

パスをもらう、つまり、ボールをうまく止めて、

ドリブルして、つまり、ボールと一緒に移動して、

パスを出す、つまり、ボールを目的位置に送り出すか、

こういうことになります。

もちろん、彼らは、ボールを身体の一部と見なせます。

プロになればなるほど、その精度が高いです。

これが、筋トレや段階的反復練習で養われるかというのが、

考えてほしいポイントです。

果たして、反復練習さえしていれば、うまくなるのか、

そういうことです。

ある程度までは行けると思います。

足とボールがどういう風になればいいのか、

どういう運動出力、操作をして、

その結果としてどうなったのか、という、

仮説検証をしている人が上手くなります。

理論的に知ることが助けになる人もいれば、

野球の長嶋監督の漠然とした表現から

そのきっかけをつかむかもしれません。

ポイントは、あくまで、能動的に何かを仕掛けている人の方が、

学習効率がいいということです。

何に注意を分散させるのか、

フィードバックをもらうのかというのも、

仕掛けていく人には大事なポイントです。

この学習のサイクルをぐるぐる回して、

サッカーならボールの扱いが上手くなり、

楽器奏者なら楽器の操作、

バレエならポワントの扱いが良くなります。

感覚麻痺のある患者さんは、

純粋の感覚は麻痺しているので、

ダイナミックタッチからのフィードバックを主に使うので、

動作を不安なく遂行できるようになっていきます。



ダイナミックタッチを成立させる身体環境については、

またそのうち。




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