課題「どうして人間は立てて、骨格標本はたてないの?」
答えは分かりますか?
これは養成校2年生、解剖学も運動学も
あっさりしか習っていない状態で出された課題です。
この課題はグループワークが必須で、
それぞれが考えた後に意見交換をしました。
それぞれ全く違った側面から答えを言いました。
「人間には筋肉があるから」
「重心・バランスがとれるから」
「倒れないように神経系が自動的に姿勢調整するから」
「そんなの、わからん!」(by正直者)
今まで教科書で読んだことなどを持ち込んで、
色んな視点で、
人間にあって、骨格標本にないものを答えとしてあげていました。
しかし、出題した先生の意図は、
動作分析をさせるための基本なアイディアを
考えさせたいということで、
こんなめんどくさい課題を出しまていました。
うちのグループの答えは、
「支持基底面の中に重心を落とせるように、
身体の各パーツを上手に連結させているから」
という、こんな主旨でした。
先生の出題の意図も組んだ意図を汲む答えとして、
これを言いました。
「支持基底面 重心」というのをググると、
当たり前ですが、支持基底面に重心が落ちていれば
転倒しない、安定すると理解できます。
その上で、どういう風にみんなの意見を肉付けしていくのか、
そこが肝でした。
数式のように書くと、
「安定する」
=立っていられる
=多少の動的修正を含む
=もし必要なら、ダイナミックに、
支持基底面や重心位置を変化させれる
=ステップができる(歩行もできる)
これが人間にある機能であると理解して、
その為に物理としてどう考えるのかを整理しました。
実習生にここまで話しても、
ほとんど意味が分からないらしく、追加の情報が必要です。
ここで積み木やティッシュの箱を出してきます。
それぞれの箱に
足部、下腿、大腿、骨盤、体幹、頭部、上腕と書いて、
これにガムテープを使って立たせてみてごらんというと、
足部の上に下腿をのせて、
その上に大腿をまっすぐに積み上げ、
骨盤をつける前に、それを二本作り、
骨盤をのせます。
そこから、体幹をのせて、
ここまでは積み木の要領ででき、
腕をつける時にやむなくガムテープを使います。
そのあとに、「このティッシュ人間を歩かせられる?」と聞くと、
非常に困惑して、無理ですと言いますが、
「ガムテープを筋肉だと思って追加してごらん、
歩くときに使う筋肉あるでしょ?
そういうのが「動的」って言うんでしょ?」とサポートすると、
大きな筋肉をガムテープで結び付けていきます。
そうすると、筋肉があるから立っていられるという理屈が成立します。
そうやっていろんな要素を付け足していける、
大前提の答えがさっきのものです。
大前提、基礎、エッセンス、この定義をつけるのが
実力になります。
この課題を出した教師も
ここら辺を答えて来たうちのグループを合格にしてくれました。
大前提を定義付ける、この力、
このために不要な要素を振るい落とし、
再度接続できるように整理すると、
色んな世界が開けてきます。
この力は、アレクサンダーテクニックを学ぶときにも役に立ち、
バレエや音楽家さんたちとのワークでも役に立ちました。
基本を何度も定義しなおし、
アップデートしては、
そこに付属理論を足したり、引いたりができるか
そこに矛盾が生じないことを確認していきます。
このブレインゲーム(頭脳ゲーム)こそが
楽しくもあり、醍醐味でもあります。
どうでしょうか、
思考を広げられそうでしょうか?
自分が一度出す答えを何度も否定というか、
アップデートしていきます。
むしろアップデートできなかったら、
それは成長がない人なのです。
どんどん理論を組みたてては崩し、
崩しては組みたてて磨いていってみてください。
そんなお手伝いをしています。
ご自身のアイディアを私にディスられて(?)、
穴を私に突っ込まれて、
へこんでしまうだけの人は残念なプライド?エゴ?が高いです。
ぜひへこみながら学びを一緒に深めましょう。
クルーガー効果ということを以前ご紹介したように、
それが必要なプロセスです。
ちなみに、これはネバーエンディングストーリーです。
