頭の中で聞こえる音
更新日:2019年7月7日
このフレーズはアレクサンダーテクニークスクールの
同級生で、ピアニストで、
子供時代は神童扱いだったらしい子(青年?)がよく言っていた。
彼は大学を当然2年もスキップして、
30歳になる前で大学教授になっちゃうかもっていわれた。
名前はエルダン。ちなみに同い年。
このエルダンからよく言われた言葉は、
語学力に問題があり、ピアノを弾かない、
私を悩ませた言葉だった。
早い話が、楽譜を読めば、
新聞を読むように、文字が、音符が、脳に認識されるってことでしょ。
最初はこれくらいにしか理解できなかった。
(私自身は楽譜を読むのに指を折る必要があるレベルの為。)
彼の弾く音は、まぁ、きれいで、透き通っているのが特徴。
「僕は初見での演奏が結構得意。」
「フレージングはお話を子供に読んであげるのと同じだよ。」
「どこで一息ついて、どんな抑揚で読むとか、、(省略)」
「キラキラ、スパークルするような音が好きなんだ。」
(この発言は、そういう音を鳴らせる
体に設定してくれという意味)とか、
エルダンはせっせと彼の脳内での出来事や、
どんな種類の音が欲しいと言ってきてくれるので、
エルダン自身が演奏で聴かせたい音や世界観が、
すでに頭の中で鳴り響いていて、
エルダンが今出せる音とは、
そこにはっきりギャップを感じていたようだった。
エルダンとワークをしていて楽しいのは、
要望をどんどん出してきてくれることだ。
自分がもっと上に行きたい、
頭の中で聞こえる音に近づきたいと。
「自分が出せる音」だけで、曲を弾こうとしないのだ。
「脳内で聞こえる理想の音」で、曲を弾こうとする。
音痴なスマップの仲居君が
自分自身ではうまく歌えないけど、
人が間違えると違うって気が付くのと同じような感じで、
自分が作っているものが間違いであるとはわかるが、
身体がやり方をわからないというのだ。
エルダンとワークするとき、
初期のころは大人しくしていて、
なんでそれをするの?という趣旨の内容の質問が多かったが、
何セッションか経過して慣れてくると、
私が彼の身体をチューニングしていると、
「あ、うまくできそうな気がしてきた」と言う。
ピアノに触っていなくても、
そう言いだすようになっていた。
体のイメージが整ってきていると
私は判断してほくそ笑んで、彼の頭の成長を見ていた。
運動制御回路理論というもので、
自分が動作する前から、どう動作したらいいかを、
私たちは知っていることがある。
もしくは、知ることができる。
フィードフォワード(フォワードは前って意味)と呼ばれていて、
フィードバックの逆、
こうすれば、こうなるとやる前からわかるのだ。
その回路が脳内に形成された証なのだ。
エルダンはこの作業をきちんとしてくれていた。
だから、体をチューニングの最中にも、
ピアノに触らずとも、
その時の状態で出せる音よりも、
「もう少し静かな音が欲しい」とか、
あれこれ追加でオーダーできた(してきた)。
こんな感じが、
一緒にワークをするときに「してほしい」事。
自分の頭の中で聞こえる、今の自分には出せないけど、
「欲しい」と思っている音を教えてほしいし、
その音をどういう体の使い方で出そうなのか、
私が体をチューニングしている間に、
脳内での自分の体の在り方をチューニングしてほしい。
そうすると、セッションの前後で音が変わるし、
一緒にその音を作っていくことができる。
エルダンは確かに神童だったんだろうと思うときがある。
それは、自分の人生で作ったことのない音が
頭の中で聞こえるのだから。
全員が全員そうではなかった経験から、そう思う。
ただ、ここも実は、
あるレベルまではトレーニングでできるようになってくるので、
懲りずに、自分自身の頭や体と対峙してくれると嬉しい。 懲りずに、我慢強く、辛抱が要求されるけれど苦笑。
朝の文章がおかしかったので、21時45分に直しました。
リリースする前に冷静に読み直す癖をつけるようにします。 すでに読んでた人いたら、ごめんなさい。
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